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Introduction to Global Communication

 

2015年度から、1回のみですが、講義を担当しています。

「日本語から見たグローバル・コミュニケーション」というタイトルで講義をします。

2016年度は2016年6月6日に行いました。

2015年度の講義についてはこちらをご覧ください

講義のテーマは2つ

日本語は学習する価値があるか?

海外で日本語を外国語として学ぶ人々は年々増加しています。国際交流基金の調査によると、その学習目的は、主に日本や日本語に対する興味がメインで、留学・就職のために日本語を勉強する人は、やや低め。では、日本への留学はどうかというと、日本学生支援機構の調査によると、日本語教育機関(日本語学校)を中心に留学生の全体数はぐんぐん伸びていますが、一方で、ここ数年、学部・短大・高専そして大学院レベルの留学生が伸び悩んでいることがわかりました。

 

ここから、日本語を勉強して、自分の勉強や研究、仕事等に生かそうという外国人が減っているのではないかという疑問が出てきます。

 

では、外国人に(趣味や興味を超えて)本気で勉強してもらえるような日本語にするためには、どうすればよいのか。これは、受講生にレポートでじっくり、考えてもらうことになります。

「日本語」で外国人をおもてなし

ここ2~3年、外国人観光客数が急激な伸びを示しています。特に中国の観光客は2年前の5倍以上!(日本政府観光局)。

 

一方で、外国人観光客への対応で困ったことも。しかし、その多くは相手の言語を使うことによって解決できることのようです。外国語で対応する工夫が求められそうです。

 

では、外国語でなんとか対応できれば、観光客に満足してもらえるでしょうか? 日本の魅力をさらに発見しようと、日本語を勉強して再来日する「リピーター外国人」は、今後、ますます増えるでしょう。彼らに理解しやすい日本語で接すれば、日本語以外の言語では手に入れられない情報や体験を得ることができ、新たな人間関係も築くことができるのではないかと思います。「日本語でおもてなし」というわけです。これで彼らの心をがっちりつかむことができるかもしれません。

 

理解しやすい日本語=「やさしい日本語」のコンセプトは、1995年の阪神大震災をきっかけに、現在では、減災や住民サービス、ニュース配信など、日本語を母語としない人々を対象に、様々な場面で活用されてきています。

 

授業では、一例として、行政が出していたとされる、乳幼児の保険(医療補助)の文書の意味を読み取ってもらい、答えてもらったり、NHKのニュース原稿を「やさしい日本語」に翻訳してもらうグループ活動をしてもらいました。

 

その活動を通して、「やさしい日本語」で書いたり話したりするのが意外と難しい、ということが実感できたようです。語彙をコントロールするだけではなく、要点をしぼるなど、様々な配慮が必要です。こういったことを学ぶきっかけとして、大学や住んでいる地域の、国際交流や日本語を教えるボランティアに参加することもよいかもしれません。

講義の後で…

受講生からいただいた感想のごく一部を紹介します。

授業の後半の「やさしい日本語」について、多くのコメントをいただきました。

 

多くは、「やさしい日本語」を使うのは難しいが使ってみたいといったコメントです。

  • 政治でも難しい言葉をよく使うから、簡単にしたら子供もわかりやすいと思う。

  • 行政の文はややこしいものが多いなと感じました。

  • 外国人を受け入れやすい国、住みやすい国にするということを言っているが、そもそも”日本語”というものを改めていくところから始めなければならない。

  • 3人の日本人が作った「やさしい日本語」を留学生が「文法がおかしい、やさしいかどうかわからない」とコメントしていたので、難しいと感じた。

 

いくつか提案もありました。

  • あまりにもやさしい文だと行政の説得力がなくなるので、両方あるのがいちばんよいと感じました。

  →その通りだと思います。相手に合わせて、何を優先させるかを決めるのが大切です。

  ですが、授業で提示した文書は「理解できないなら、補助は受けられませんよ」という悪意も感じてしまいそうです(笑)

  • 小学校低学年までの小さい子供に話しかけるつもりでいると比較的回答に困らないと思う。

  →もちろん、「やさしい日本語」は子どもにも理解されやすいところはあります。

  しかし、子どもがよく使う「ぱらぱら」「ざらざら」「ふわり」いわゆる擬音語・擬態語の類は外国人には理解されにくいことばです。

  授業で紹介したサイトにも、ポイントが書かれてあるので、参考にしてみてください。

 

その他

  • 「悲しむ」という単語を(やさしい日本語で)使わないのはとても驚いた。

  →主語と単語の選び方など、「悲しむ」と「悲しい」など感情の表現は使い分け方が難しいので、初級で出てきたとしても後ろのほうになります。

  • 一部の店員さんは「やさしい日本語」で接するようになることで、接客態度がやさしくなくなることも感じています。(留学生のコメント)

  →そうなんですね。

  • 今までは日本語を教えている先生を見て「簡単なんじゃないの? 苦労しないんじゃない?」と思っていたけれども、もしかしたら何よりも難しいのでは…

  →私たちの仕事を理解してくれてありがとうございます!!!

 

 

前半のテーマに関するコメントもいただきました。

  • 日本語の学習目的で、将来の仕事について連想したのは看護師を目指す外国人が日本で日本語を必死に勉強している姿でした。

 →フィリピンやインドネシアとの経済連携協定(EPA)に基づく、看護師・介護福祉士候補者に対する日本語予備教育です。国際交流基金のサイトで詳しく紹介されています。

  • 日本にベトナム人の留学生が増えていることに少し驚いたが、よく考えてみたら知り合いのアルバイト先が最近ベトナム人ばかりだという話を思い出した。自分の周りも気が付かないうちに変化しているのだと思い、面白かった。

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